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2024年10月18日
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「電波競売」足並み乱れ 規制改革推進会議

2017年11月18日





 内閣府の規制改革推進会議の大田弘子議長(政策研究大学院大教授)は17日、電波の周波数帯の利用権を競争入札にかける「電波オークション」を導入するよう安倍晋三首相に提言する答申を、年内にとりまとめる方向で議論を進める考えを示した。

 この日の会合後、東京都内で記者会見した大田氏は、総務省が審査して免許人を選ぶ現行の「比較審査方式」に加え、「オークションという選択肢があってもいいのではないか」と述べ、導入に前向きな考えを示した。

 会合では、経済協力開発機構(OECD)加盟国35カ国のうち、日本だけがオークションを導入していない点について、委員から強く疑問視する声が上がった。また、オークション導入の後発となることを逆手にとって、導入国の失敗例を生かした制度設計ができるとの意見も出たという。

                   ◇

 ■議長「導入も選択肢」、総務省及び腰

 電波の有効活用や審査の透明化に向け、特定のテレビ局や通信事業者などに割り当てられている周波数帯の利用権を競争入札にかける「電波オークション」をめぐり、政府内で足並みが乱れている。内閣府の規制改革推進会議では、オークションは主要議題となっていて導入に前向きだ。一方、総務省は消極的で電波の有効利用がテーマの懇談会では議題にすら上がっていない。

 規制改革推進会議の部会は今月、毎週のように会合を開き、関係する事業者や総務省から意見聴取し、議論を重ねている。主な議題は電波オークション導入についてで、委員が前向きなのに対して事業者は「放送の公共性や継続性が損なわれる恐れがある」(NHK)など真っ向から反対。総務省も消極姿勢を貫く。

 電波オークションを議題に議論を重ねるのは、6月に閣議決定した「規制改革実施計画」で検討事項に上がったためだ。安倍晋三首相も9月11日の会議で「ダイナミックな電波の利活用が可能となるよう割当制度の改革は待ったなしだ」と強調した。

 総務省も10日から、「電波有効利用成長戦略懇談会」で議論を開始。しかし、警察無線など公共用周波数の民間への開放などが主要議題で、電波オークションには出席した野田聖子総務相も委員も一言も触れずじまいだった。

 電波オークションは現行の電波割り当て方式の「比較審査」と比べ、審査過程の透明化や電波利用料増収が見込める。平成27年度の電波利用料収入は約747億円だが、民主党政権下で導入を検討した際は毎年平均で数千億円の収入になると推計されていたという。

 首相の意向を受け、オークション導入は今後、検討が進む見通し。総務省も「(電波割り当ての)現行方式が唯一無二とは思っていない」と述べ譲歩の姿勢を見せており、法案提出まで進む可能性もある。

 ただ、オークションでは外資を規制できないことから、安全保障上の問題などのデメリットも指摘される。制度を利用する側の事業者は強硬な立場を崩していない。

 「民主党政権下で反対したのは自民党。今も賛成派は少ないのでは」(総務省幹部)と与党内での足並みの乱れも予想される。官民のさまざまな思惑が交錯する中、議論は先が見通せない。(西岡瑞穂、大坪玲央)